医師と呼吸器の病気

私たちは生きていくために食物を食べますが、これがエネルギーとして体の中で使われるためには、酸素を必要とし、エネルギーを作った後には二酸化炭素が生成されます。酸素を消費して二酸化炭素を生み出すことは生命活動を維持していく上で最も重要な働きであり、活動維持可能な速さで循環する血液と外気を介して二酸化炭素と酸素を交換することが必要です。この役割を担うのが呼吸器で、空気を出し入れすることによって空気中の酸素を血液中に取込み、血液中の二酸化炭素を呼気中に排出する働きをしています。

呼吸器の病気には、鼻腔・口腔・咽頭・喉頭にウイルスが感染し炎症を起こす「風邪」「インフルエンザ」、肺の中で微生物が繁殖する「肺炎」、結核菌が肺胞で繁殖する「肺結核」、気道の慢性的炎症である「気管支喘息」、肺を包む肋膜(胸膜)に穴が開く「気胸」、肺胞組織が破壊される「肺気腫」などの他、喘息、胸水、肺膿瘍、肺高血圧症、呼吸不全、肺ガンなど多くの病気があります。呼吸器系の病気では多くの場合、咳や痰が出る他、‘ゼィーゼィー’‘ヒューヒュー’といった息苦しい呼吸や胸の痛みなどの共通的した症状があります。そのため多くは風邪と自己判断しがちではありますが、風邪様の症状の裏には大変危険な病気をはらんでいることもあります。

特に呼吸器系の病気の中でも肺炎は、年間死亡者が約11万人を超え死亡原因の第4位に上る病気です。高齢化社会の中、抵抗力が弱い高齢者が肺炎に罹ると生命を落とすリスクが高まり、近年では抗生物質が効かなくなってきたことも死亡者数の増加につながっていると言われています。肺炎を‘風邪の少しヒドイ状態’程度に認識している人も多いようですが、病院内の感染症の中では最も致死率が高く、他の慢性疾患を抱える人が肺炎にかかるとやはり死に至る病気です。  

肺炎は、肺炎球菌・インフルエンザ菌・黄色ブドウ球菌・マイコプラズマ・レジオネラ・口腔内常在菌など様々な病原菌の感染によって肺に炎症が起こる病気です。こうした肺炎の原因となる細菌やウィルスは、呼吸をするときに鼻や口から身体の中に侵入します。健康な人の場合は、のどの部分でこれらの病原菌を排除することができますが、風邪などをひいてのどに炎症を起こし、病原菌がのどのブロックを素通りして肺に入り炎症を起こします。肺に病原菌が入っても病気に対する抵抗力が強ければ肺炎を発症することはありませんが、抵抗力や免疫力の少ない特に子どもやお年寄り、他の病気で体力が衰えている場合には肺炎を起こしやすくなります。

肺炎の主な症状は痰をともなう咳、発熱、悪寒、胸痛、喀痰、呼吸困難などが数日間続きます。軽度の場合は外来で薬の処方により治りますが、重症化すると入院が必要になるため、特に症状が分かりにくい高齢者は早めの受診が肝要です。

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